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産経宮崎新聞社取材記事より(平成21年4月21日掲載)


フェラーリをこよなく愛し続けている少年

「少年」とは年齢のことではなく、少年のような心でもなく、「少年」という言葉しか見つからなかったからあえて、福島茂樹氏を少年と呼ぶことにした。

 走る意欲をなくしてしまったバラバラの状態の一頭の跳ね馬、フェラーリ328と出会った。「このフェラーリとの出会いは衝撃的でしたね。そしてこの出会いが今の自分の根本です」と福島氏は言う。持ち主に懇願してこのフェラーリを譲り受け、生き返らせるために一度エンジンをバラし組み立て直す作業を続けた。「びっくりしたのは、フェラーリのエンジンはノーマルなのに既にチューニングされているかのようなエンジンなんです」と説明する。国産車のようにいろいろな工場から部品が集まり組み立てているものとは大きく違い、フェラーリは同社の工場の中でほとんどが作られているのである。こんな驚くべきエピソードがある。「その日はカムシャフトの部分をばらしていました。そうしたら、なんとそのカムシャフトに人の顔が小さく手で彫ってあるんですよ。凄いでしょ。なんかドラマがありますよね、作り手の、国産メーカーの量販車では決して見られないことですよね。だからこそ全ての部品一つひとつから作り手の魂のようなものが伝わってくるんですよね」。

 ゴルフ好きな人がタイガーウッズと同じクラブを選ぶ、野球好きな人がイチローと同じグローブを求めたりする。誰もが持っているこのような感覚をフェラーリに向けているのだと福島氏。「この車は決して日常的な車ではありません。好きなバイクのエンジンをバラして組み立てて乗るそんな感覚に近いと思います。バイク好きな人がよく触ってますよねエンジンを、それと同じなんです。何十、何百とある部品が永年動き続けることで少しずつずれてきて調子が悪くなるんですよ機械ですから」この症状を福島氏がリセットし、リボーンさせるのである。

 福島氏はエンジン発電機やコンプレッサーの修理工場(宮崎産機サービス)を家業としている。「仕事で使うこの工場があったからこそ、今こうしてフェラーリのエンジンを触れるんです。家業としてこの環境を作ってくれた父に感謝しています」と言うのである。

 今その工場には乗り継いで来た3機目のフェラーリF355が車体からエンジンを取り外され、新しい力を発揮するために部品一つひとつが磨かれ、組み直され生まれ変わりつつある。「今度の跳ね馬はどんな車に仕上がるのか楽しみですね」とこの少年は目を輝かせ、約1ヶ月後に来るであろう跳ね馬独特のフェラーリビートに胸を躍らせている。